The Spiders Album No.1
1966年4月15日リリース
  1. フリ・フリ'66
  2. ノー・ノー・ボーイ
  3. リトル・ロビー
  4. ビター・フォー・マイ・テイスト
  5. ロビー・ロビー
  6. ミスター・モンキー
  7. ヘイ・ボーイ
  8. ワンス・アゲイン
  9. 落ちる涙
  10. ラッキー・レイン
  11. しずかに
  12. ゴー・ゴー
 いきなりGSです、はい。コラそこ文句言わない。確かにGSは昭和歌謡の1ジャンルとして扱われていますが、ビートルズの登場により世界中に拡散した'60sビートの日本版、言うなれば「Japanese Beat」と言う側面もあるのですよ。ベンチャーズの影響も大きいですがね。そんなこんなでここで扱ってもいいんです(断言)。

 と、いうわけでスパイダースです。メンバーはリーダーの田辺昭知(Dr)、堺正章&井上順(Vo)、かまやつひろし&井上孝之(G)、大野克夫(Key,StG)、加藤充(B)の7人。どこかで見た名前がいくつかいると思いますが、高い確率であなたが思い浮かべた人と同一人物です。いや「えー」とか言われても本当なんだからしょうがない。
 このアルバムはGSブームが巻き起こる以前に発表されたアルバムで、どんだけ売れたかはよくわかりません。しかし注目すべきは売上よりもその内容。曲は1曲(この1曲もクラシックから)を除きなんと全てメンバーのオリジナル(うち10曲がかまやつ(!)。ただし、作詞はほとんど外部の人)。それだけあって当時はずいぶん異質なサウンドだったんでしょう。何しろ昭和41年だもん。

 前置きはいいからアルバム本編に行ってみよう。
 1曲目は「フリ・フリ'66」。記念すべき彼らの最初のシングルの曲の英語バージョンですが、なんといきなり337拍子のアレンジ。この時点でかなりのオリジナリティを発揮しています。マチャアキのボーカルもイントロから飛ばしてて非常によい感じです。40年前とは思えません。
 2曲目は一転、しっとりとしたバラードの「ノー・ノー・ボーイ」。歌詞は日本初のダブル・ミーニングということで…(作詞は田辺昭知)。
 3曲目は明るいロックナンバー「リトル・ロビー」。阿久悠の詞が正直かなり微妙ですが、曲がいいので許しましょう(笑)。
 4曲目、2つ目の英語歌詞の曲は「ビター・フォー・マイ・テイスト」。「ノー・ノー・ボーイ」同様しっとりした感じのバラード。ただ、歌詞なんかの面ではあっちの方が上かな。
 5曲目「ロビー・ロビー」。って、また「ロビー」かよ!!また阿久悠かよ!!また「小鳥」かよ!!しかしイントロから入るムッシュのギターがいいアクセントになってます。
 A面最後(でも持ってるのはCDだけどね)の「ミスター・モンキー」。これも阿久悠の詞ですが…。なんかモンキーというダンスを流行らすために作られた曲だとか何とか。ライブだともっと激しくなってそうな曲だしね。

 B面は怒涛のガレージサウンド「ヘイ・ボーイ」からスタート。いわゆる「ルイ・ルイ」リフの曲ですが、同時期の同じリフの曲よりもずいぶんテンポが速い!!そのためなのか間奏長いのに1分50秒弱しかありません。間奏のオルガンがまんまゾンビーズ「She's Not There」なのはご愛嬌というところなんでしょうか(笑)。
 8曲目「ワンス・アゲイン」。英語の歌詞ですが、それは良いとしてこの曲の聴き所は間奏の爆速オルガンでしょうか。B面は結構オルガンが目立ってくるけど、特にこれは、すげーよ。
 次の「落ちる涙」も英語の歌詞。ここでもオルガンの面目躍如。早弾きはないけどまるでドアーズみたい(当時はまだデビューしてないけど)。この辺なんて今でも十分いけるメロディーだと思うよ。
 10曲目はそのオルガンの大野克夫が作曲した「ラッキー・レイン」。実はこの大野氏、かつては「太陽にほえろ」現在は「名探偵コナン」のサウンドトラックを担当してたりする未だにバリバリ現役の人なんだよね。でもこの曲はあんな感じじゃなくて(笑)普通(出来が、じゃないよ)のポップソング。歌詞(ささきひろと作詞)も微妙っちゃ微妙だけど気取ってなくて個人的にはとても好き。
 11曲目はアルバム唯一のメンバー以外の作曲(アルビノーニ)「しずかに」。というわけで雰囲気が全然違うって言うか、違いすぎって言うか。だってもとはクラシックの曲なんだもん。でもこの曲の静かさがアルバムに起伏をもたらしてると思う。
 ラスト12曲目は「ゴー・ゴー」。前と打って変わってかなりぶっ飛ばしてます。タイトルからしてそんな感じだし。間奏の複数人による絶叫はスパイダース名物。なにしろリードボーカル取るのが4人もいるんだもん。

 しかしこのアルバム、ほんとにブリティッシュ・ビートをそのまま日本に持ち込んだ感じでこの時代の音楽が好きな人にはお勧めです。これを「グループサウンズ」に対する印象が激変しますよ、マジで。
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